べっかんこう

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大図書館の羊飼い Dreaming Sheep

「図書部は永久に不滅ですっ!!」高らかに謳い上げる佳奈すけはスルーして、今日も図書部は平常運転。他愛もない冗談を飛ばしつつ、無茶な依頼に立ち向かう。春から代わり映えしない俺たちだが、一つだけ明らかに変わったことがあった。それは──俺の隣に、いつも 『彼女』 がいるってことだ。周囲は、『バカップル』 だの 『消え去れ』 だの 『野生の王国』 だの言うが、まったく意味が分からない。俺は、どっちかといえばドライなほうだし、そこらの奴らみたいに人前でイチャついたりしない。模範的カップルとして表彰されてもいいくらいだ。「俺たち、清く正しく付き合ってるだけだよな?」隣の彼女に問いかける。「ぼふぉふぉふぉふぉ」「……」いつの間にか隣に座っていたデブ猫を、速やかに黙らせた。今日も図書部は平常運転。春から代わり映えしない俺たちだが、もう一つ変わったことがあった。 それは──あの頃より、今のほうが何倍も楽しいってことだ。 もっとみる 特集: AUGUST特集
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大図書館の羊飼い

「汐美学園を、もっともっと楽しくしませんか?」何か悪いものでも食べたのか、彼女――白崎つぐみは言った。前振りがあったわけでもない。それ以前に、彼女と知り合いだったわけでもない。唐突に、白崎は言ったのだ。「そういう話なら、生徒会に掛け合った方がいいと思うけど」と、喉まで出かかった言葉を腹の底まで押し戻したのは、俺――筧京太郎の悪癖だった。情に棹させば流される、とは有名な小説の一節だが、しばらく後の俺の心境はまさにそれだ。川の果てまで流れ流され、河口付近を漂っていた俺の周囲には、同じように流された奴らが集っていた。 もっとみる 特集: AUGUST特集
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FORTUNE ARTERIAL

世の中にいい冗談と悪い冗談があるなら100パーセント悪い冗談だと思う。転校先の学院。隣のクラスに吸血鬼がいた。だいたいね、人の首から血を吸うなんて今時エレガントじゃないの──常識でしょ? みたいな表情で、今日も彼女は言うだろう。知り合ってからというもの、すべてが彼女のペース。俺が求めていた生活は、もっとこう……なんてぼやいてみても後の祭り。平穏無事な学院生活は、すでに消えてしまった。それでも、なぜか胸が高鳴ってしまうのは。こんな毎日は、修智館学院以外のどこにもないと心のどこかで確信できているからかもしれない。 もっとみる 特集: AUGUST特集