桑島黎音

Rosebleu

いんぴゅり〜ヒトとアナタとアヤカシと〜

妖怪。それは遙か昔から日本に存在する、人間の理解や想像を超える、奇怪にして異常、不可思議なる力を行使する非日常の象徴……。と、言われていたのも今はもう昔の話。そう遠くない未来の日本、妖怪と人間は共存の道を歩んでいた。店を覗けば河童の店員が奥様方を接客し、公園に目を向ければぬりかべが子供達とたわむれ、病院ではがしゃどくろの医者がお爺さんを整骨中、ふと空を見上げれば一反木綿のデリバリーが会社の窓からサラリーマンに届け物。非日常が当り前の日常になっている時代、妖怪は人と共存する事で生活の安定を得、人間は妖怪の持つ不可思議な力である妖力を研究し、その恩恵を受けて日々の安寧を得る。そんな近未来の日本にある、研究都市・白夜島に‘赤城和登’は住んでいた。幼い頃より妖怪達と暮らし、妖怪達と共に生きてきた和登は、一瞬一瞬を全力で楽しもう、をモットーに、幼なじみの‘静音’と共に白夜島内の白峰学園へと入学する。今まで通りの騒がしくも平穏な日々が続く、そんな期待と共に。だが迎えた入学式の当日、和登は、そこで一人の少女と再会する。かつての自分と共に遊び、そして自分を救ってくれた、もう一人の幼なじみ。鬼の少女、‘伊吹雅’に……。それは、騒がしくも平穏な日々の終わり。更に騒々しく大賑わいの日々の始まり。鬼に天狗、妖狐に座敷童に雪女。個性豊かな妖怪達と、それに勝るとも劣らない癖の強い人間達。生まれて膨れて弾けて混ざり合う恋模様。これはヒトとアヤカシが共存する、非日常的な日常の物語。頑張る誰もが幸せになれる、そんな日常のおとぎ話。 もっとみる
ALcot ハニカム

赤さんと吸血鬼。

主人公、西桐 悠はいくらかはずれた季節に学園へと現れた転校生。どこでもやたらと眠るクセを除けば、ごくごく一般的と云えなくもないかもしれない感じの平均風な人類。とは云え月日は百代の過客にして新味にも限界があり。転校よりすでに半月が経過し、そろそろ当人も周囲もがその存在に慣れてきた頃。その間、周囲にできた友人は3名。黙ってただ在ればそれなりにハンサム、それなりに成績優秀、それなりに健康優良児。ひとりめ。クラスメート、生嶋 秋月(いくしま しゅうげつ)。しかしその口が閉じることはあまり無く、結果的に残念な男子。ふたりめ。秋月の幼なじみでもある、小林 神威(こばやし かむい)。その妙にハンサムな名前も相まって、黙っていればクールビューティ。しかしその実、かわいいモノに滅法弱かったり妄想が暴走気味だったりする残念少女。さんにんめ。漆黒の長い髪を持つどこか和風の美少女、六覚院 このは(ろっかくいん このは)。成績優秀気立て良し。立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は生徒会長。が、しかし極度のあがり症が災いし、重要な場面では高確率でヘタれる残念学園総代。四人が親しくなったきっかけは、学園の敷地内に併設されている寄宿舎。時代の波と少子化問題的なものにのまれ、閉鎖が決定しているその寄宿舎の、彼らは最後のメンバー。階が隔てられているとはいえ、学校が終わればひとつ屋根の下。そこに加わり、ほどほどに青春な日々を過ごしていたところへ現れた、新たなる転校&入寮生。 その名は──海の向こうよりやってきた金髪の少女、アレクサンドラ・アン=クリスティン・アクセリナ。そしてその従者、メイドのインゴット。日本へは気象学を学びに来たというアクセリナ、彼女にはある秘密があった。そしてさらにある日、事件が。赤ちゃんが──寮の前に、捨てられていたのである。 もっとみる