minori

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ANGEL TYPE

定時制の学園に通う藤代 尚(ふじしろ なお)は、何気なく過ごす日常の中、微かな孤独を感じていた。そんな彼が、周囲からは人あたりも良く、性格の良い人物として見られることが多いのは、その内面からの反動を‘‘明るさ’’として振る舞いに出しているからだろう。そんな日々の中で、彼は3人の少女と出会う。唯一の親友である猫と共に、他人など全く意識しないかのように奔放に生きる‘‘佐倉 詩希(さくら しき)’’。いつも元気で明るく、海が大好きな女の子‘‘柚月 未憂(ゆづき みゆう)’’。そして主人公とは昔からの知り合いで、彼女が編入した定時制学園で再会する事となった‘‘川原 砂緒(かわはら すなお)’’。彼女達とふれあう中、世の中と自分との間に言い知れぬ違和感を感じていた主人公の心に、少しずつ変化が生まれてくる…。「自分として生きること」への想いと共に。 もっとみる
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Wind −a breath of heart− Re:gratitude

※本作品は本編とファンディスク同梱版となります。<<01>>8月のある日。どこまでも蒼く晴れ渡る夏空の下、丘野真(おかの まこと)とその妹・ひなたは、人影もまばらなローカル線のボックスシートで、互いに向かい合って揺られていた。車窓を流れる景色を見てはしゃぐ妹と、眠さの為適当にその相手をする兄。それはどこにでもありそうな、ある夏休みの光景だった。二人が向かうのは、彼らの生まれ故郷・風音(かずね)市。家の都合から、十数年前に離れたこの街へと再び戻るところだった。生まれ育った街にあるのは、おぼろげな記憶。引越す時に女の子と交わした約束と、一緒に渡したハーモニカ。そんなことをうっすらと思い出しながら、真は妹の声を聞き流し、レールの通過音に誘われるまま、浅い眠りについた。<<02>>それから半年後。故郷の学園に編入した彼らは、お調子者の同級生・橘勤(たちばな つとむ)やその幼馴染み、紫光院霞(しこういん かすみ)と共に、ごく普通に楽しい学園生活を送っていた。ただひとつ、変わった点といえば、彼らを含め、風音市に住む人々は皆、ちょっと不思議な「力」を使えるということ。少し高く飛び上がれたり、そよ風を起こしたりといった、本当に小さなものではあったのだが。編入してすぐに知り合った悪友・勤のお陰もあって、真とひなたには否が応でも友人が増えてゆく。なぜか隣接して建っている隣の学園に通う、藤宮望(ふじみや のぞみ)とわかばの姉妹や、彼女達が仲良くアルバイトをする喫茶店のマスターもそうだった。そんな中、彼らが出会ったのは、一人暮らしで小さな雑貨店を営む女の子・月代彩(つきしろ ひかり)。他人に対してかたくなに心を閉ざし、いつも無感情に振舞う彼女は、どことなくこの風音市という街に似た、不思議な雰囲気を持ち合わせていた。それは彼女の売っている、あまりに奇妙な商品からくる印象なのかもしれなかったが。<<03>>そんなある日のこと。真は忘れ物に気付き、放課後の学園へと足を向けていた。夕陽がオレンジ色に照らす校舎内でふいに彼が耳にする、ハーモニカの音。そのメロディは、記憶のどこかにしまっていた幼き日の母の思い出と、もうひとつの想いを彼に思い起こさせる。ハーモニカの音色に誘われるまま、隣の学園へと向かう彼は、夕暮れの中、ひとりの少女と出会った。「想いは、遠く離れてても届くんだよ。そして想いを無くさない限り、また会えるの。…今、私たちがこうしているようにね」そう言って微笑みながら真の方を振り向いたのは、思い出の中、こちらを見てにっこりと笑っていた少女。かつて離ればなれになった幼馴染み・鳴風みなも(なるかぜ みなも)だった。それぞれの思いを胸に、学園生活を送る真とその友人達。不思議な街を舞台に、彼らの物語が今、そのはじまりを告げようとしている…。 もっとみる
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【全年齢】すぴぱら − Alice the magical conductor. STORY #01 − Spring Has Come !

// [ すぴぱら - Alice the magical conductor. ] についてminoriは、‘‘物語’’をお届けして参りました。その中で‘‘物語’’を、ひとつの「作品」として、より良い形で皆様に贈るべく目指してきたもの――具体的には、グラフィック、音楽、映像、そしてその全てを織り上げる‘‘演出’’。それらについて私共は、近作の『ef - a fairy tale of the two.』、『eden*』にて、ひとつの到達点を迎えた、と自負しております。そして、時は過ぎ、私たちは新たな挑戦を決意しました。それが、minori’s 5th debut about‘‘Wonder’’.『すぴぱら - Alice the magical conductor.』です。本タイトルは、培った演出技術を通し‘‘物語’’を描いてきたminoriが、より高次の表現 / 更にはエンタテインメントの持つ力の高みを目指す為の、新たな挑戦作となります。そして今回の挑戦が具体的に目標とする表現は、誤解を恐れず、ひとことで言うなら‘‘ 躍動感 ’です。これまでの作品で、私共が描いてきた‘‘物語’’。そこには例えるなら、「映画のスクリーンの中で、ストーリーを彩るキャラクター達とその感情の機微を完全に確立する」事に主眼を置いた演出を施す必要がありました。それは‘‘物語を通して、登場人物たちを生かす’’という形でひとつの完成を迎え、またそれを目指してminoriの作品は創られていた、と捉える事ができる。『すぴぱら』の制作を開始した現在、私達はそう考えています。前作の完成後、これまでの創作を改めて見つめ直した際。上記に対する自己再評価と共に、「エンタテインメントとしてのminori作品が、この先に目指すべき場所」を、おぼろげな形ながらも、確かに見出しました。エンタテインメントとは、心を動かすもの。そして、心を動かす、感動する、という結果をもたらすアプローチは、ひとつだけではありません。その中でminoriがこれまで探求してきたのは、前述の「‘‘ 物語 ’’としての世界が、‘‘ 人と心 ’’を動かす」感動を最大限に引き出そうというものでした。そうした方向から創り出した作品でも、最終的に人が感情を動かされるのは、‘‘ 人と心 ’’が織り成す部分に他なりません。それなら「‘‘ 人と心 ’’が、‘‘ 物語 ’’と世界を動かしている」という、ある種、逆のアプローチからのメッセージを、よりストレートに追求 / 表現し、形にできないだろうか。そして、それこそが心を動かす、純粋な塊となり得るのではないか。これが本作『すぴぱら』で、目指すものです。抽象的な表現が多くなってしまいましたが、結局のところ、「人と、その心から沸き起こる、‘‘ 生きている ’’ 感覚(‘‘ 躍動感 ’’)」を純粋な形で表現する、という事に尽きます。そして、その活き活きとした、ともすれば触れられるような躍動感を描き出すことで、瑞々しい感情の発露と、登場人物達が「居る」ために綴られて行く‘‘ 物語 ’’を、お届けできればと考えております。『すぴぱら - Alice the magical conductor.』は言わば、これまで組み立てた創作の方法論を自身で全て解き崩し、その瓦礫の上に築かれる新たな尖塔として、位置づけられた作品です。その塔が完成した暁に頂上から見える景色は、以前に登った頂きの別な側面かもしれませんし、全く新しい地平かもしれません。ただ確かなのは「上を目指し続ければ、その場所で自ずと答えは見えるだろう」という事でしょうか。……ちょっと言いすぎたかもしれません。しかし私たちはいつだってチャレンジャーなんです。自らの屍を越えていくのが生き様なんです。そう、一度きりしか無い人生、前のめりに行きたいじゃないですか!それでは、minori自身の新たな挑戦となる、「純粋な‘‘ 人と心が存在する感動 ’’を内包した、躍動するエンタテインメント」作品の誕生に、どうぞご期待ください。 もっとみる
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12の月のイヴ

誰もが、様々な想いを抱えながらも、「慌しく過ごさなくてはならない」と急かされるような、ある年の瀬。都会からほど近いニュータウン・恵美市(めぐみし)でも、そうした風景が幅をきかせていた。【クリスマスイヴ】という名で知られる、その日。ごく平凡な青年・直人(なおと)は所用の道すがら、不思議な少女と出会う。出会った記憶のない、その少女を何故か「知人」と意識した時、彼らの物語は幕を開ける―。―ある者は、楽しく過ごす【時間】を守るため。―また、ある者は、無自覚に【何か】を手に入れようとして。―そして、ある者は、大切な【目的】を果たすために。それぞれの運命が、物語を織り成してゆく。 もっとみる
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罪ノ光ランデヴー

■二人は、永遠の絆で結ばれた。罪という名の鎖によって。暗いトンネルの向こうに、光が見えている。そのほんの一筋の光は、希望を表しているようにも感じた。小さな村の、たった一つの出入口であるトンネルの目の前で、「野々村優人(ののむらゆうと)」は空想世界の絵を描いていた。光が届かないくらい遠い海の底に住む、人魚の女の子の画。その日は、ふと顔をあげると目の前に彼女が ――キャンバスの中と同じ、彼女がいた。小さく、狭く、閉じた、絵本の中のような、その場所に。そしてその村 ー 珠里村(たまさとむら) ― も優人も、その「真澄(ますみ)あい」という新しい住人を受け入れた。―― 光に手を伸ばし、それを辿るようにして、着いた場所で。■罪だと思い込んで生きるほうが、気が楽だったから。新学期、春。両親のいない優人にとって、入学式は憂鬱なイベントだった。校門の前で写真を撮ったり、新入生入場の瞬間をビデオカメラに収めたり、特別な一日を親子で楽しむ。その当たり前の景色が自分に欠如していることはもう慣れてしまったことだった。それでも桜の咲く前に、唯一の近しい親戚である祖母を失ってからは、急に寂しさを感じることがあった。そんな優人の孤独を知り、あいは自らの痛みを打ち明ける。■悲しい結末のほうが、記憶に残ると思っていたから。親に捨てられ、生まれながらの孤独を味わいながら、自分の生きる意味を探しているあい。父親を火災で亡くし、母と姉は行方不明。村に取り残され、空想の絵を描いて現実逃避をする優人。二人は真逆で、それから、よく似ていた。距離は縮まってゆく。優人は、ある後悔を抱きながら。あいは、ある嘘を隠しながら。秘密を抱えたままの二人が関わり、繋がり合おうとしていくたびにその罪はより強いものになり、絆になっていった。光には影が、あることを忘れたまま。
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その日の獣には、

学園には、ウワサがあった。友瀬 律希が妹の瑠奈、幼馴染の池貝 舞雪らと通うのは、女優・俳優はもちろん、著名な脚本家を輩出するなど、演劇に関する活動の盛んな学園。入学後、小さい頃から演劇に触れていた律希と瑠奈のふたりは、何かと周囲から浮きがちなクラスメイトの深浜 祈莉を誘い、更には律希を慕う舞雪も伴って、演劇部に入部する。全国大会へのステップとなる学園内予選に向け、張り切る律希たち。が、一年生には予選に参加する権利すら無いという。まだ経験に乏しいとはいえ、参加すらできない事に納得のいかない彼らは、何とか一度、舞台で自分たちの演技を見てもらう約束をとりつけるが …… 。舞台に取り憑いた幽霊のウワサ。「その霊はね、演劇に関する願いなら‘‘何でも’’叶えてくれるんだって―」 もっとみる
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夏空のペルセウス

7月のある日。山道を走るバスの車中。遠野 森羅(とおの しんら)とその妹・遠野 恋(とおの れん)は、不機嫌に言葉を交わしていた。「また、余計な首を突っ込んだりしないでよね」「あぁ」兄妹は、他人の「痛み」を自分に移すという力を持っていた。幼少の頃に身寄りをなくし、その力ゆえに他人に利用され続けてきた兄妹。彼らは、親戚の家を転々とするものの、どこにいても力のことを周囲に知られてしまい、結局、居場所を失い続けていた。「今度こそ気をつけてよ」という妹の剣呑な言葉に、「わかっている」と生返事をする森羅。「もう、聞いてるの?」「痛み」を癒すことも出来ず、自分に移すだけの役立たずの力。しかし、その力にはなにか意味があるはずだと森羅は考えていた。バスを乗り継いで着いた場所は、遠縁の親戚が暮らす・天領村(てんりょうむら)。三方を山に囲まれ、ひまわりの咲き誇る山村だった。初めて顔を合わせる遠縁の少女・皆川 翠(みなかわ すい)に出迎えられ、翌日から通うことになる学園に案内される。過疎化の進んでいる村では、複数の学年が1つのクラスで授業を受けることになるらしい。読者家の少女・菱田 あやめ(ひしだ あやめ)や、天使のような微笑みを浮かべる沢渡 透香(さわたり とうか)との出会い。村の相談役である翠の父親の薦めで、遠野兄妹は村の神社の社務所で暮らすことになる。管理する人間がしばらくいなかったこともあり、若い労働力を期待されてのこと―同時に、部外者を遠ざけ観察するための処置だったのだろう。だが、人と接触すると「痛み」を移されてしまう兄妹には、逆に都合のよいことだった。風鈴、向日葵畑、望楼のある高台。夏の山村に流れる穏やかな時間。そんな中、机を並べる少女たちが、それぞれ「痛み」を抱えていることを知る。遠縁の少女・翠は、足に怪我を。読書家の少女・あやめは、交通事故による両親の死という心の傷を。実の妹である恋は、他者への不信、兄である森羅への依存を抱えていた。とりわけ、天使のような微笑みを浮かべる透香という少女は、森羅にとって異質な存在だった。触れるだけで猛烈な「痛み」が走り、ドス黒い何かが流れ込む。それぞれの「痛み」を胸に。愛と犠牲が紡ぐ絆の物語が、そのはじまりを告げる―。